社会保険料の徴収

国民年金の保険料納付率が低いことを騒がれてますが、この納付率の低さの原因は一体何なのでしょうか。

よくマスコミなどでフリーターをクローズアップしていますが、現代ではフリーターよりもちゃんとした企業に勤める非正規労働者の方がよっぽど多いでしょう。

現在、非正規労働者は約2000万人。日本の労働力人口の3分の1です。

勿論、ここにフリーターも含まれますが、派遣労働者・契約社員等の方が多いでしょう。

このように考えると、

①国民年金の納付率が低いというよりも、本来は厚生年金(以下、社会保険)に加入すべき労働者が社会保険に加入させられていない

②国民年金の保険料を払いたくても、払い得ない所得状況である(ワーキング・プア)

と考えることもできるでしょう。

社会保険の適用関係でも、2つの大きな問題があります。

①会社(=法人)は強制適用事業所であるのに、そもそも社会保険適用をしていない

②正社員などの名称にとらわれず、正社員に比して3/4以上の勤務をしている者は適用であるが、社会保険加入させていない。

この2つの問題は会社に責任のある違法行為ではありますが、制度上適用や加入をしなくてもすぐには違法であると取締されないことも問題であると考えます。(強制適用事業所であるのに、そもそも社会保険適用をしていないことを年金事務所に指摘されることは殆どありません。社会保険加入させていないことも年金事務所の調査があるまでは殆ど指摘されません。)

 

税金に関しては会社は真摯に対応しているので、やはり「歳入庁」の創設により、納付率が大きく上昇するでしょう。

定額残業代制度は危ない?2

さて、前回は定額残業代制度の危険性を紹介しましたが、今回も同じテーマを取扱います。

今回は労働者目線からの定額残業代制度の危険性を紹介したいと思います。

 

A社  月給25万円(諸手当込み)  *月に残業40時間ほどあり

B社  基本給19万  *月に残業40時間ほどあり

 

上記、A・Bのような求人情報があったとします。

金額だけで考えるなら、A社の求人情報の方が待遇が良いかのように感じられます。

ですが、A社の場合(諸手当込み)となっています。 つまり、Aは記載されている残業40時間を定額残業代制にしている可能性があります。そうしますと、AもBも待遇はほとんど変わらないことになります。

(B・・・19万÷173時間×1.25×40時間=約55,000円。 19万+55,000=245,000)

AもBも金額的に変わらないのであれば、最初から25万もらえるAの方がいいと考える人もいるでしょう。ですが、手取り(保険料・所得税控除後)で考えるならBの方が高くなります。

 

なぜなら、最初から25万とした場合、25万に対して社会保険料の報酬決定がなされます。(資格取得時決定)

よって、Aの場合の社会保険料は約34,795円

Bの場合は、約25,400円となります。 (保険料も高い分、社会保険からなされる反対給付も高くなるのでデメリットだらけというわけではありません)

つまり、控除額は9,000円ほどBが安いのです。

 

あと、もう一点推測されるのが、繁忙期などで残業が50時間になった場合、A社はそのままの定額残業代のみしか支払わない可能性が高いです。定額残業代制度を設けている場合、みなし残業時間を超過した時間に対する割増賃金計算はかなり煩雑ですので、そういったことをしない会社である可能性が高いのです。 ひどいところですと、定額で払えばいくら残業をさせたとしても精算されると考える会社もあります。

このように考えますと、B社のほうが働いた分ちゃんと割増賃金を支払う会社である可能性が高く、未払い残業問題が発生する可能性は低いと考えられます。

 

 

定額残業代制度は危ない?

割増賃金に関するトラブルは、労働紛争の定番です。さて、今回はタイトルの「定額残業代」に関する最近の傾向を考察してみます。

ワークフロンティア事件(平24/9/4)では、就業規則に「基本給に時間外労働45時間分の固定割増賃金~~円を含む。」と規定していました。ある時、残業に関して争訟がおきました。争訟の当事者である原告従業員は就労していないので、会社はノーワークノーペイの原則に基づき、固定割増賃金部分を減額控除していました。これに対して、裁判所は待ったをかけました。

 「固定割増賃金の合理的意思解釈として、実際の時間外労働に基づく割増賃金の額が、固定割増賃金の額に満たない場合であっても、基本給は満額支払われるものであるから、固定割増賃金部分を不支給とすることは許されない」と判示しました。つまり、会社は残業してない者に対してでも、残業手当を払わなければならないということです。

他にも最近ですと、就労の実態に応じて支払うべき残業代(割増賃金)をあまりに過大に「残業手当」として処理している場合に(例えば、月の基本給15万で、固定残業手当を10万など)、毎月の法定時間外労働の変動にかかわらず一律で固定的に処理していますと、残業手当が法定時間外割増賃金とは認められず、基本給と一体をなすものと判断される判例があります。つまり、月の基本給15万で、固定残業手当を10万としていて、毎月の時間外労働などを集計せず、未払い残業問題が生じた場合に・・・・

基本給15万を月の所定労働時間173時間で除して、1.25倍にしたものが時間外割増賃金の1時間単価 とはならず、

基本給15万と固定残業手当10万の合計額を月の所定労働時間173時間で除して、1.25倍にしたものが時間外割増賃金の1時間単価となります。

もし、1ヶ月100時間分の未払い残業代問題が生じたら

【誤った計算方法】 150,000÷173時間×1.25=1,083.81     1,083.81×100時間=10万8381円

10万を残業として払っているので、10万8381円-10万=8381円   よって8381円が未払い

ではなく

【正しい計算方法】 (150,000+100,000)÷173時間×1.25=1,806.35

1.806.35×100時間=18万635円

18万635円がそのまま未払い額となります。

少し前ですと、固定残業代で処理するのが主流でしたが、現在のこういった判例を鑑みると時間に応じて割増賃金を支払うのがこれからのスタンダードになりそうですね。

「働くヒトの手取額」と「会社の法定福利費を入れた人件費」との意識差

「お役立ちコーナー」の保険料計算ツールで、「働くヒトの手取額」と「会社の法定福利費を入れた人件費」との意識差がわかるように意識差額が計算されるようにしました。

給与額28万円、40歳、一般の事業で計算すると、238,986円が社会保険料を引いた額になります。可処分所得はここから所得税と住民税を引いた額になるのでさらに少なくなります。

それに対して、会社が法定福利費を入れた人件費ととらえるのは、321,995円となります。これには会社が全額負担する労災保険料は含まれていません。

それでも、その差は83,009円になります。ここに、所得税、住民税、労災保険料が入ってくるとさらにその差は大きくなります。

社会保障費としての健康保険(介護保険を含む)、厚生年金保険の保険料は年々上昇しています。

中小企業、特に小規模企業では現在も給与の昇級ができないところが多くあります。明細に書かれている給与額が例え一緒であったとしても、働くヒトの手取りは減り、会社の人件費は上がる。

中小企業、特に小規模企業で給与額面を上げられることより先に物価上昇が進めば、働くヒトも会社も生活が苦しくなるのです。

大企業だけでなく、中小、小規模企業で働くヒトの事まで考えていってもらいたいものです。