中小企業でパワハラ増加

労働新聞(平成26年6月16日)を見ていますと、中小企業でパワハラが増加しているとの記事が載っていました。

神奈川県が平成25年度の労働相談の結果をまとめた結果によると中小企業ほどパワハラが発生しやすい実態が明らかになったそうです。

同県に寄せられた相談件数12,302件中、女性は6.759件、その約半数の3,106件は非正規労働者からだったとのことです。

相談内容は 1.労働契約の終了 3,361件 2.職場での人間関係 2,638件

の順で多く、職場での人間関係を細かく見るとパワハラが1,417件で前年度比19.9ポイント増とのことです。

同県によると、女性からの相談が過去最多だったのはパワハラの増加が一因となっているとしています。

働くうえで最もストレスとなるのは「人間関係」であることは随分と前から言われています。また、労働局への相談事項も「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は多くなっています。

しかし、今まではパワハラの定義が明確でなかった事もあり、パワハラと区分されてていなかったのではないでしょうか。

会社としてはパワハラで大切な従業員を失わないように気を付けて行きたいものです。

うつ病罹患での労災申請のご相談が増えています。

当法人のサイトにうつ病に罹患した場合の労災認定に関して記載していますが、最近は労災認定に関するお問い合わせが増えて来ました。

当法人では過重労働(長時間労働)、パワハラ、セクハラによるうつ病などの精神疾患に罹患された方の労災申請の手続きをさせて頂いています。

過重労働やパワハラだけでなく、過度なノルマの為にうつ病などの精神疾患に罹患された場合も労災認定を受けることが出来る可能性があります。どうかなぁと悩まれている方は1度ご相談ください。

当法人の代表上田は産業カウンセラーの資格も合わせ持ち、 『京都府自殺ストップセンター「いのちのサポートチーム」登録社労士』です。

また企業様向けに過重労働、パワハラ、セクハラによるうつ病などの精神疾患に罹患されることがないような体制作りのお手伝いも行なっています。

働く人の健康を守るのも会社の義務です。ブラック企業などと言う不名誉なレッテルを貼られる前にご相談ください。

過労自殺をした女性の両親が1億5300万円の損害賠償請求

平成25年12月9日産経新聞による報道です。

====以下引用

居酒屋チェーン「ワタミフードサービス」の新入社員だった森美菜さん=当時(26)=が過労自殺したのは、会社と経営陣が安全配慮義務を怠ったためなどとして、両親が9日、創業者の渡邉美樹参院議員ら会社側に「懲罰的慰謝料」を含む約1億5300万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

代理人弁護士によると、懲罰的慰謝料の請求は過労死・過労自殺をめぐる民事訴訟では異例。被告は同社と持ち株会社「ワタミ」の法人2社、当時ワタミグループを率いていた渡邉氏ら個人3人としている。

訴えによると、森さんは平成20年4月に入社し、神奈川県横須賀市の店舗で調理を担当。月約140時間に及ぶ時間外労働の末、手帳に「体が辛いです。誰か助けて下さい」と書き残し、6月に飛び降り自殺した。過労自殺として24年2月に労災認定されている。

渡邉氏には、全従業員に「24時間働け」などとげきを飛ばす言動があったとして「労働者の安全や健康に対する配慮がみられない」と指摘。懲罰的慰謝料を求める理由を「全従業員の過重労働でまかなえる程度の慰謝料では、悪質な過労死を防げない」と説明した。

都内で記者会見した父の豪さん(65)は「なぜ娘が亡くなったのかを答えてほしいという一点で提訴した」と話した。

====引用終わり

この事件のその後を追いかけると「平成26年3月27日。初めて出廷した当時の経営トップ、渡辺美樹氏(現参議院議員)が、法的な責任は認めなかったものの、道義的責任は認めて、両親に対して初めて面と向かい、頭を下げた。」と報道されています。

同日「ワタミは運営する居酒屋の1割となる60店は平成26年度中に閉店すると発表した」と報道されています。人手不足のために店舗運営がままならない状態だと言われています。

景気回復のため飲食業では人手不足であるのは確かですが、休みの日にもボランティアで研修をしなくてはならないような会社作りにも問題があるのではないでしょうか。

さらに、女性が亡くなったのが平成20年。今年は平成26年。でやっと渡辺氏は頭を下げた。6年が経過しているのです。あまりにも遅すぎたのではないでしょうか。

亡くなった森美菜さんのご冥福をお祈りしつつ、仕事で人が死ぬなどないような社会にして行きたいと考えます。

 

 

デイサービスセンターの男性介護員、精神障害を起こし自殺。労災認定及び損害賠償5000万円。

岡山県備前市デイサービスセンターの男性介護員(当時42歳)が2007年に焼身自殺したのは上司のパワハラが原因だとして、遺族が訴訟を起こしていました。

和気労働基準監督署(岡山県)が2010年8月に遺族補償年金などの不支給を決定し、遺族が国に処分取り消しを求め岡山地裁に提訴していました。2014年4月23日の判決で、パワハラと自殺の因果関係を認め「(業務と自殺の)因果関係を否定した処分は違法」として、処分取り消しを命じました。

また、遺族がデイサービスセンターに損害賠償を求め訴訟では、原告の請求通り計5000万円の支払いを命じました。

判決などによると、2004年5月ごろから、上司の女性生活相談員が、男性の仕事のミスについて職員会議などで「何でできないの」などと厳しく叱責。    男性は2007年9月にガソリンをかぶり焼身自殺しました。

裁判では「上司は、男性の判断・作業能力が低下している原因を十分見極めることなく、叱責を繰り返した。心理的負荷は過重。自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されていた」と指摘されました。

パワハラでの精神障害による自殺であると判断、労災認定がされ、民事的にも損害賠償が認められた事件となります。

社会保険労務士の仕事

社会保険労務士の仕事は次のようなものがあります。

  1. 労働社会保険に関する書類等の作成代行
  2. 労働社会保険に関する書類等の提出代行
  3. 個別労働関係紛争の解決手続(あっせん・調停等)の代理
  4. 労務管理や労働社会保険に関する相談等

この中で1~3は独占業務であり社会保険労務士でないとできません。中でも3は特定社会保険労務士のみができる業務になります。(弁護士・認定司法書士はこの業務は可能)

あっせん等とは話し合いにより個別労働紛争を解決することで

  • 個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行う あっせん手続の代理
  • 男女雇用機会均等法に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理
  • 育児介護休業法に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理
  • 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理
  • 個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせん手続の代理
  • 都道府県社社労士会労働紛争解決センターが行うあっせん手続の代理

などです。この業務に第8次社会保険労務士法改正で

  • 簡易裁判所での訴訟代理権
  • 裁判所における出廷陳述権
  • 労働審判における代理権

を追加したいと全国社会保険労務士会では考えていました。しかし、日弁連の反対もあり

  • 個別労働紛争について簡易裁判所における民事調停の代理ができること
  • 裁判所(非訟事件を含む)において弁護士とともに補佐人として出頭し陳述できること
  • 社労士会労働紛争解決センターにおける60万円枠を撤廃すること

に変更になりました。我々社会保険労務士としてはADRに特化し、司法・行政・民間型のADR代理ができることになります。

しかし、これもまた変更になったようです。公明党山本ひろし議員のブログで見つけました。

http://www.yamamoto-hiroshi.net/archives/2014/02/28/

平成14年2月26日の公明党社会保険労務士議員懇談会での内容では

  • 社労士会労働紛争解決センターにおける枠を120万円にすること
  • 社労士業務に関する裁判所での出廷陳述権の付与
  • 1人で社労士法人を設立できる制度の創設

の要望があり、前進できるよう取り組んでいくと山本議員は書かれています。

改正法成立が何時になるかは定かでないのですが、その内容が随分と変わってきたようにも思えます。

「社労士業務に関する裁判所での出廷陳述権の付与」が目玉のようですが、このままの言葉で条文化されるものなのでしょうか???

どちらにせよ私の「社会保険労務士としては労働紛争に関してはADRに特化し、司法・行政・民間型のADR代理ができるようになれば」という思いは実現しないようです。

社会保険労務士は労災保険給付に関する決定に不服がある場合の審査請求・再審査請求の代理権はあります。しかし、行政訴訟の代理権はありません。「社労士業務に関する裁判所での出廷陳述権の付与」がなされた場合、行政訴訟での出廷陳述ができるようになるのでしょうか?

それにしても第8次改正は何時になる事やら。

うつ病が労災認定されると企業に損害賠償請求される事があります

うつ病などの精神疾患になり私傷病扱いで求職後、休職期間の満了で退職若しくは解雇によって労働契約を終了することは多々あります。

しかし、後にうつ病に罹患したのが在職中で月100時間の残業を超えるなど業務起因性が認められると、労災認定が後にされることがあります。このような場合、先の退職、解雇は遡って無効となり得ます。

労災保険がおりるだけでなく、企業の安全配慮義務違反(債務不履行)と訴えを起こされる可能性が出てくるのです。

本来、労働者が故意に死亡又はその直接の原因となった事故を起こした場合(自殺はこれに当てはまっていました)は労災認定はされていませんでした。

しかし。「精神障害による自殺の取り扱いについて」(平成11年9月14日基発545号)では「業務上の精神障害によって、正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、または自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われたと認められる場合には、結果の発生を意図した故意に該当しない」と故意が阻却されることがほとんどなりました。

よって、上のように100時間を超える残業が続き過労のため、うつ病に罹患し、その後自殺をした案件で労災認定がされることが増えてきました。

その上、企業の安全配慮義務の履行がなされなかった訴えを起こされる可能性もあります。

有名な電通事件では1億6,800万円の損害賠償が認められています。

働くことによって死亡する事は何としても避けなければならないでしょう。そのためには企業も残業は月60時間を超えないように労務管理をしていくことが大切になります。

アニメ制作会社に勤めていた男性が自殺 労災認定

新聞によりますと東京のアニメ制作会社に勤めていた男性がうつ病を罹患しその後自殺した事件で、新宿労働基準監督署が労災認定しました(2014年4月18日)

過労によるうつ病が原因としています。男性は2006年から2009年12月まで会社に勤め、その後2010年10月に自殺したとのことです。病院のカルテによると月600時間の労働時間となっていたそうです。

労働基準法によると週40時間、月で171~177時間位が法定の労働時間です。上の時間が本当であれば月に400時間以上の残業をしていたことになります。

労働基準監督署は在職中にうつ病を発症し、その前の2~4か月に少なくとも100時間を超える残業があったと認定し、労災認定を決定しました。

新聞報道ではここで終わっていますが、遺族は会社に対して安全配慮義務違反で損害賠償請求を行うのではないでしょうか。亡くなった男性が28歳と若いことからも、その額は1億円近くになるのではないでしょうか。

残業は月60時間を超えないように時間管理をすべきでしょう。