最低賃金の上昇と労働時間の短縮で何が起こるのか

政府は最低賃金を3%ずつ上げて行きたいようですね。先日塩崎厚労大臣の話の中で聞きましたが安部政権では2年ほど前から言っていることです。また、2019年には罰則付きの労働時間上限が設定されそうです。

過労死がこれほど問題になっている時代ですから労働時間を適正に(サービス残業がないように)設定される事は歓迎すべきことです。

しかし、これは残業代によって必要なサラリーを得ていた人たちには問題となるでしょう。実際に、既に会社の「働き方改革」の影響で手取りが減ってきたという話をよく聞くようになって来ました。

賃金単価を上げるためにも最低賃金を上げて底上げしないといけません。それが最低賃金を3%ずつ上げる話につながるのだと思います。

今日、コンビニのバイト募集の張り紙を見ると時給850円と。但し、試用期間中は810円。試用期間中でも最低賃金は支払わないといけないので、これは最賃法違反(京都府の現在の最低賃金は831円)です。まだ仕事を覚えていない試用期間中の人でも831円なのです。3年前まではベテランでさえ800円であったのですが…。

労働時間を短くし賃金を上げる。そうすると企業も働く人も労働生産性を上げるしかないわけです。

人にはそれぞれ能力、経験、知識などのリソースが違うので自分の持つリソースを活かせる職場でないと、問題が生じるでしょう。

労働契約法の改正により来年4月からは5年以上勤める有期雇用者は無期転換の申し入れが出来るようになります。であれば5年以内の契約で雇い止めを行う企業も出てくると思われます。

正直、数年前の時給800円のパートスタッフの方が今の時給950円のパートスタッフより良く仕事が出来ていたと逆転現象が起きてきました。

最近、どのように仕事をしてもらいたいか評価基準を作成しています。評価基準の最低がクリア出来ない場合、第1回目の更新をしないのは企業に取っても働く人に取っても大切な事だと思います。

「頑張ってくれているからまぁ、良いか」と今までのように構えていると、何れその企業は終焉を迎えるでしょう。

経営(企業)も働く人も正念場を迎えることになります。

政府は労働生産性を上げられない企業、能力を活かせない労働者は切り捨てて行くのではないか。ちょっと斜めに構えすぎでしょうかね?

マタハラ、残業未払いで訴えられました(有名エステサロン)。訴額は合計2,600万円にもなります。

10月29日エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」が訴えられました。マタハラ(マタニティ・ハラスメント)及び残業未払いだと言う事です。

東京地裁の提訴では女性従業員が「お腹の張りと腰痛がひどかったのに、出産の3カ月前まで朝9時から夜10時まで働き、切迫早産になった」としています。

労働基準法では、6週間以内に出産する女性が求めた場合は産前休暇を与える事になっています。(産後は8週間の休暇を与えなければならない事になっています。)

また、基本的には育休は子供が1歳になるまで取れる事になっていますが、会社は「4月以降に産休に入るか退職かを選ぶように」「産休に入るなら1年で復帰しないといけない」と説明していたと報道されています。

妊娠したら退職勧奨を行っていたとしたらマタハラと訴えられても仕方が無いと思われます。今回の訴えでは慰謝料200万円だそうです。それに加えて2年間の未払い残業代1,400万円も同時に請求を行ったとの事です。

 

同日に、仙台店に勤務していた従業員と元従業員の女性2人が、会社に未払い残業計1000万円の支払いなどを求める訴えを仙台地裁に起こしたそうです。

 

今年8月21日に「たかの友梨ビューティクリニック」の高野友梨社長が、職場の環境改善を求めた女性従業員に「労働基準法にぴったりそぐったら絶対成り立たない」「あなた会社つぶしてもいいの?」のと詰めよった事を女性従業員の加入する労働組合「エステ・ユニオン」により暴露されたばかりです。

 

その後9月11日に、「当社と致しましては、今後とも労働基準法や公益通報者保護法をはじめとする、法令、社会倫理及び企業規範の遵守並びに適正な労使関係の形成のためにも、全力を尽くして参る決意でございますので、皆様の変わらぬご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。」と「エステ・ユニオン」に回答を送っていました。

 

にも関わらず、東京と仙台の事件です。

 

裁判結果はこれからで、どのような司法判断が出るかは現時点ではわかりませんが、このような事件が立て続け起こると、求人応募数は減り退職者も多く出る可能性があります。そうすると益々人手不足になり一人当たりの残業時間が増えることになってしまいます。

また、顧客も減り売上が下がる事も考えられます。

 

対岸の火事と流すのではなく、企業は最近問題になっている、パワハラ、マタハラ、残業未払いなどの問題に真摯に向き合わないといけませんね。

最低賃金を時給1500円にと アメリカで数千人規模のデモ

2014年9月4日、全米でマクドナルドなどのファースト店で働く従業員らが賃上げを求めて数千人がストライキやデモを行ったそうです。座り込みを行い、交通妨害をしたとして騒乱行為の容疑などで400人以上の逮捕者が出たとニュースでは報じられています。

 

連邦最低賃金は現行時給7ドル25セント(約760円)であり、ストライキ、デモに参加した従業員達は最低賃金を時給15ドル(約1580円)に引き上げるよう要求しています。

 

米国のファーストフード店従業員の時給は平均約9ドル(約950円)で、年収は約1万9000ドル(約200万円)程度だそうです。

 

保守系シンクタンクの試算によると時給が15ドルになれば、企業は商品価格を38%値上げせねばならず、利益は77%減るとしています。

 

2014年5月15日には東京都渋谷にてファーストフード店で働く人達が時給1500円にして欲しいと訴えデモを行いました。これは全米サービス業従業員組合(SEIU)が世界35カ国で一斉デモを呼び掛ける「世界同時アクション」の一環であったそうですが。

 

平成25年の都道府県最低賃金の加重平均は時給764円で日本もアメリカもほとんど同じであると言えます。

 

米連邦準備制度理事会(FRB)が4日公表した家計調査によると、上位3%の層の所得が全体に占める比率は、2013年には30.5%になったそうです。

 

これは貧富の差が広がっていることを示していますが、日本もアメリカと同様に貧富の差が広がっていますし、何時かは同じような事が起こることになるでしょう。

 

しかし、最低賃金が時給1500円となると、新卒の給与(月給)も最低260,000円程度になります。現在の特に中小企業・小規模事業でこのようなことが起こると人の採用は停滞することが予想されます。勿論、商品価格に転嫁できれば問題がないわけですが、競争力は低下してしまいます。

 

先進国での空洞化は進み、失業率も上がる結果になりそうです。そして、人々は安いものに走り景気は停滞し正規雇用者の割合も減り貧富の差は益々進んで行くことになるでしょう。

 

卵が先か鶏が先かの問題ですが、この大きな問題に目を背けず真剣に考えて、実行していく企業だけが生き残り、その他は淘汰されていく日もそう遠くはないと思います。

パワハラ、セクハラで精神疾患 労災申請最多1409人(H25年度)

職場でのパワハラ、セクハラ、長時間労働で精神疾患を罹患し労災申請をした人は平成25年度は前年度比152人増の1409人と過去最多であったことが平成26年6月27日の厚生労働省での発表でわかりました。

5年連続で1000人を超す高水準で、30~40代の働き盛りが6割を超えているそうです。このうち労災認定をされたのは436人で、嫌がらせやいじめ、セクハラが原因だったケースがともに過去最多となったそうです。

436人の内訳は男性289人、女性147人で、前年より39人減ったが過去2番に多さです。うち63人が自殺(未遂を含む)を図るなど深刻な問題となっています。

精神疾患の原因について「嫌がらせやいじめ(パワハラ)」と認定されたのは55人、「セクハラ」と認定されたのは40人で共に過去最多になっています。特にパワハラは「仕事量が増えた」のが原因である55人と対で原因のトップとなりました。

厚生労働省での分析では「仕事が理由でストレスを感じている人が増えている。労働者側に精神疾患が労災認定の対象になるとの認識が広がったことも背景にある」としています。

パワハラやセクハラ、長時間労働での精神疾患罹患が労災認定されると、その後に損害賠償請求をされることもあります。自殺で亡くなった場合、遺族から請求される損害賠償額は5000万円~1億5000万円と高額あり、さらにブラック企業として一般に認識すると、応募者数が減るなどの問題も出ています。

実際、大手居酒屋チェーン店では新卒の応募者数が減って店舗閉鎖の影響も出ています。

このような事に陥らないためにもEAP (http://adr-kyoto.net/?page_id=4752) などを利用されることをお勧めいたします。

若い働き手が少なくなっており、中小・小規模事業では人が集まりにくくなっています。働く人を大切にすることを宣言する事は、これからの企業運営には欠かせないのではないでしょうか。

対時間生産性

法律上、原則1日8時間・1週40時間までと労働時間には規制がかかっています。(協定を締結・届出することによりこの制限は緩和されます)

つまり原則論で考えれば、仕事というものは上記の制限時間内で効率的にこなしていき、価値創造をしなければいけません。

しかしながら、最近おもしろい統計結果が発表されました。

 

内閣府が11月に発表した「ワークライフバランス」に関する意識調査

上司は残業している人を「頑張っている」と評価していると思うか?という質問に対し、1日の労働時間が12時間以上の人は53%が「思う」と回答。一方、10時間未満の人は38%に留まった。同様に、上司は残業をしている人を「責任感がある」と評価していると思うか、という質問にも12時間以上の人は39%が「思う」と回答し、10時間未満の人では30%だった。

つまり、労働時間の長い人ほど、上司が残業に対して「ポジティブなイメージ」を持っていると感じる傾向があるようです。

 

もし、会社がちゃんと残業代を払っているなら残業時間が長いということは人件費が膨れます。(当たり前の話しですが)

反対に、残業代をちゃんと払っていないのなら人件費は抑えられますが、これは違法です。

 

売り上げの伸びにどこまで影響するかは未知数ですが、やはり「対時間生産性」で考えるのならば残業時間を無くすことは利益率を良くする手の1つであると私は考えます。

キーは法律による規制よりも、上司らの意識改革の方かもしれません。

2013年12月23日 | カテゴリー : 労務管理 | 投稿者 : matsuo

「ダンダリン」最終回

12/11の放送をもって水曜10時「ダンダリン」が最終回となったようです。

私は1話ちゃんと最初から最後まで見ることはなかったですが(リーガルハイをみていますので)、先週見た1コマについてコメントします。

先週ぐらいに放送された未払い残業について。

確か女性が監督署に相談しにきて、明細書に記載された残業時間(20時間)と女性の手帳に記した残業時間が違うとのことですぐに臨検に行くという内容だっはずです。

地方によっては、違うでしょうけど上記の申告内容だけで会社にすぐに臨検するというのは少し考えにくいです。

 

なぜなら、普通は会社に上記の申告内容が事実かどうか確認をとります。

また、明細書の手当に残業代が含まれる手当がある可能性もあるので、未払いは生じていない可能性もあります。(例えば、管理職手当を支給していてもこの手当に10時間分の残業代を含めるという就業規則の規定と、個別労働契約書の締結があれば監督署レベルではこれ以上調査してくることはないでしょう)

加えて、一番大きな理由として監督官は数が少ないので上記の内容ではすぐに動くとは思えません。

日本には約400万の事業場と5000万人の労働者がいます。 それに対して、監督官の数はたったの約3000人です。(新規採用は200人ほど)

ちなみに、警察官は25万人ほどいます。

つまり単純計算で、監督官1人あたり1333の事業場に16000人の労働環境を監督する義務があるのです。この事実を踏まえると、上記女性の内容で臨検して1日を潰すのは生産的ではないでしょう。

 

監督官の数、採用の数、もっと増やしてもいいと私は考えます。

 

国のブラック企業対策

来年度から「ブラック企業」対策で、厚生労働省はハローワークを通じて大学生や大学院生を採用する企業に対し、離職率の公表を求めるようです。過去3年間の採用者数と離職者数の記入欄を設けて、記入は強制ではないが、「空欄のままだと公表できないほど離職率が高いのではと見られる」(厚労省幹部)として、抑止効果が期待できます。

一方で、大阪労働局から「若者応援企業」と認定された企業が集まった合同就職面接会が、大阪新卒応援ハローワークの入る大阪市北区のビルで開かれました。安心して働ける企業と若者の橋渡しを目指した試みが本格的に動き始め、若者応援企業とは厚生労働省が今年度から始めた事業で、

〈1〉新卒者の定着状況や月平均残業時間を公表する

〈2〉過去1年間に会社都合での退職をさせていない

などの条件を満たした企業のみが参加できる仕組みです。

 

ネガティブアクションとして、離職率を公表し「ブラック企業」を浮き彫りにし、ポジティブアクションとして、優良企業を国が認定して、優良企業への就職を促進していく。

ブラック企業根絶施策として、非常に期待ができます。

 

2013年12月7日 | カテゴリー : 労務管理 | 投稿者 : matsuo

労災保険の特別加入と一般民間保険

先日、労災保険のことや特別加入制度をよくご存じではない新規のお客さんのとこに訪問しました。

その際、事務組合を利用することのメリットを説明し、事務組合を使用しないと「労災保険の特別加入はできませんよ」と説明したところ、

「それって民間の保険よりもイイの??」と質問を受けました。

・・・・

恥ずかしながら、そのときすぐに回答できませんでした。

なので、調べてみました。

 

CMも流れている、有名な「日本フルハップ」を調査対象としました。 (参考:http://www.nfh.or.jp/about/index.html

日本フルハップの「怪我の補償」に関する保険商品は、1人あたり1500円/1月の保険料がかかり、補償内容は日額¥2,000から5,000で、障害や死亡の場合には1,000万円支給されるようです。

(月に1500円ですので、年間1.8万円。 労災保険の場合には、業種によって料率が変わるので何ともですが「その他各種事業」の0.3%で考えますと、給付基礎日額が18,000円で設定するのと同じぐらいの保険料となります)

労災との最大の違いは、業務外も補償されることです。

 

結果、どちらの保険が良いかはすぐに決定できませんが、

私の率直な感想は、案外民間の保険もそんなに高くないなと考えました。

2013年11月23日 | カテゴリー : 労務管理 | 投稿者 : matsuo

特定派遣廃止へ

政府は労働者派遣法改正案を来年の通常国会に提出。平成27年春から新制度に移行させたい考え。

厚生労働省は、届け出制で開業できる特定派遣事業を廃止し、すべての派遣会社を許可制の一般派遣事業に移行させる方針を固めました。

「常時雇用」を前提としているはずの特定派遣事業で、有期雇用契約の繰り返しが横行するなど、派遣労働者の立場がかえって不安定になっているとの指摘があるため。一般派遣事業の許可要件には2千万円以上の資産規模や派遣元責任者講習の受講義務などがあり、事業参入のハードルが高いので、業者の「質」を高める狙いもあると思われます。

派遣法で定める特定派遣事業は本来、派遣会社に「常時雇用」される労働者が対象です。雇用が比較的安定しているとの考え方から規制がゆるやかで、即日受理される届け出制となっています。IT企業や製造業など技術者の派遣を主とする業者が大部分を占めています。

しかし「常時雇用」に法律の定義はないのです。

米リーマン・ショック後の不況で技術者の需要が減ったこともあり、1年ごとの有期雇用を繰り返したり、悪質なものでは仕事のない時期に、労働基準法で定める休業補償もなかったりと、実質的には雇用が不安定な派遣会社も少なくないようです。特定派遣事業の廃止で、すべての派遣会社は一般派遣事業の許可を取る必要があるでしょう。

一定の事業規模が求められるほか、5年ごとの更新が必要となり、業者の信用向上にもつながることが期待されますが派遣業の本来の目的を失うのではないかと危惧します。元々、派遣はごく限られた職種でのみ許されていたもので、施行当初は13業務のみで、その後の法改正で26業務、その後に禁止業務だけが列挙されて原則は派遣可能となりました。

特定派遣事業自体を廃止するよりも、上記の労働基準法違反の場合には基準法違反で検挙すべきですし、期間の定めのある雇用契約の場合には一般派遣として規制をすべきです。ちゃんと特定派遣を行い、事業をおこなっている会社からすると「派遣の許可」をとることは負担にしかならないでしょう。

本来であれば、悪質な派遣会社は働き手がいなくなるか質の低い労働者しか派遣できないことにより自然淘汰されるのが摂理なのでしょうけど、不景気が自浄作用を鈍らせているのでしょう・・・

2013年11月18日 | カテゴリー : 労務管理 | 投稿者 : matsuo

労基署(労働基準監督官)に逮捕されるなんて ダンダリン第1話見ました。

ダンダリンの第1話、第2話を見ました。今回は第1話の話から。

第1話では残業未払の悪徳社長が労働基準監督官に逮捕されてしまいました。手錠をガチャリと。では本当に監督署に手錠はあるのか?実は本当にあるそうです。ただ、私の妻(特定社会保険労務士)が聴いたところによると錆びているとか(笑)

実際、労働基準監督官は司法警察員の権限があるので逮捕できるのです。しかし、基本的には手錠をかけるような事はなく、悪質な場合は書類送検を行うのが一般的だと思います。

逮捕しようにも被疑者が暴れたり、武器を持ってあばれたりしたらどうしようもありませんね。警察ではないので身体を鍛えたり逮捕術を学んだりしていませんし、拳銃どころか警棒も持っていませんから。

それにしても、ドラマのように雨の中をほふく前進して逮捕に向かうことなどは到底考えられません。

同じ厚生労働省管轄の司法警察員でも麻薬取締官は、麻薬取締という危険な職務であるため、小型武器での武装(拳銃・特殊警棒等の携帯)が認められ、警察官と同様の逮捕術の訓練も受けているそうです。

公務員の友人がエレベーターで麻薬取締官と一緒になるとすぐわかると言ってました。身体ががっしりしている上に、時には拳銃が見えると。

労働基準法違反で逮捕なんかされないと思ってあまく見ていると逮捕されることもあることは知っておくべきです。労働基準法にも刑罰規定はありますから。

それよりも、労安法(労働安全衛生法)違反の方が送検はされやすいですよ!